お客様からいただくお問い合わせのなかでよくあるご質問にお答えします。
Q
ベースパックのアンカーボルトの伸び能力について
A
『2007 年度 建築物の構造関係技術基準解説書(黄色本)』によると、伸び能力のあるアンカーボルトとは、「軸部の全断面降伏までネジ部が破断しないような性能のもの」とあります。
具体的には以下の記載内容です。
1)切削ネジ(並目):素材の降伏比 0.7 程度以下
2)切削ネジ(細目):素材の降伏比 0.75 程度以下
3)転造ネジ:素材の降伏比 0.75 程度以下
4)ネジ部の有効断面積が軸部と同等以上
但し、上記規定を満足していても、アンカーボルト長さが短いと絶対伸びが小さくなるため、個別の検討や実験等で確認が必要。
ベースパックのアンカーボルトの規格は以下の通りです。
●異形鉄筋Mネジ :転造ネジ 降伏比 0.75 以下
●ネジ鉄筋 :ネジ部と軸部の断面積が同一
●ハイテンアンカー :転造ネジ 降伏比 0.75 以下
したがって、ベースパックのアンカーボルトは「2007 年度 建築物の構造関係技術基準解説書」の規定を満足しており、伸び能力のあるアンカーボルトと言えます。
また、柱脚実大実験などによって、十分な伸び能力が確保できていることを確認しております。
Q
4号建築物へのベースパック柱脚工法のご採用について
A
柱脚に関する建築基準法その他省令として以下のような記載があります。
第66 条(柱の脚部)
構造耐力上主要な部分である柱の脚部は、国土交通大臣が定める基準に従ったアンカーボルトによる緊結その他構造方法により基礎に緊結しなければならない。ただし、滑節構造である場合においては、この限りでない。
平12 建告第1456号(鉄骨造の柱の脚部を基礎に緊結する構造方法の基準を定める件)
建築基準法施行令(以下「令」という。)第六十六条に規定する鉄骨造の柱の脚部は、次の各号のいずれかに定める構造方法により基礎に緊結しなければならない。ただし、第一号(ロ及びハを除く。)、第二号(ハを除く。)及び第三号の規定は、令第八十二条第一号から第三号までに規定する構造計算を行った場合においては、適用しない。
一 露出形式柱脚にあっては、次に適合するものであること。
イ アンカーボルトが、当該柱の中心に対して均等に配置されていること。
ロ アンカーボルトには座金を用い、ナット部分の溶接、ナットの二重使用その他これらと同等以上の効力を有する戻り止めを施したものであること。
ハ アンカーボルトの基礎に対する定着長さがアンカーボルトの径の二十倍以上であり、かつ、その先端をかぎ状に折り曲げるか又は定着金物を設けたものであること。ただし、アンカーボルトの付着力を考慮してアンカーボルトの抜け出し及びコンクリートの破壊が生じないことが確かめられた場合においては、この限りでない。
ニ 柱の最下端の断面積に対するアンカーボルトの全断面積の割合が二十パーセント以上であること。
ホ 鉄骨柱のベースプレートの厚さをアンカーボルトの径の一・三倍以上としたものであること。
ヘ アンカーボルト孔の径を当該アンカーボルトの径に五ミリメートルを加えた数値以下の数値とし、以下略
ベースパックは、上記ただし書きのうち「ホ」と「へ」及び一部の柱との組み合わせで「二」を満足しておりませんが、種々の実験ならびにそれに基づいた構造計算により柱脚部の構造安全性を確認しており、建築基準法施行令第 82 条第一号から第三号までに規定する構造計算を行った建築物、工作物において採用することができます。
しかしながら、上記構造計算を行っていない4号建築物は柱脚の上記告示に定める仕様規定を満足する必要があるため、ベースパックを採用することはできません。
Q
ベースパックのベースプレートに溶融亜鉛メッキを施す場合について
A
柱材に溶融亜鉛メッキを施す等で、ベースパックのベースプレートに貫通孔を設ける場合は、下記に記載の方法にてご対応をお願いします。
なお、めっき浴に沈み込ませる際の向きが記載されていますが、空気溜まりによる不めっき部を作らず、確実に亜鉛を流出させるような施工をしていただきたいという意図で記載したものです。
空気溜まりによる不めっき部を作らず、確実に亜鉛を流出させることのできる施工方法であれば、めっき浴に沈みこませる際の向きは問いません。
また、ベースプレートの中央部以外に貫通孔を設ける場合は、ベースパックグラウトの注入時にグラウト材が貫通孔へ流入することを防止するため、
めっき完了後にベースプレートの貫通孔部分を適切な方法で塞いでくださいますようお願い申し上げます。
ベースプレートに貫通孔を設ける場合
柱材に溶融亜鉛メッキを施す等でベースプレートに貫通孔を設ける場合、その貫通孔は、以下のいずれかとする。
①孔径を柱外形寸法の1/2を上限とし、ベースプレート中央部に1つ(付図 1-1)。
②角形鋼管柱にあっては、孔径を35mm以上ベースプレート板厚以下とし、柱四隅の角部外側の曲率半径中心で囲んだ範囲(付図 1-2)内に4つまで。ただし、ベースプレート板厚が35mmを下回る場合は、孔径を35mmとする。
③円形鋼管柱にあっては、孔径を35mm以上ベースプレート板厚以下とし、柱心から柱径の2/3の範囲(付図 1-2)内に4つまで。ただし、ベースプレート板厚が35mmを下回る場合は、孔径を35mmとする。
ただし、ベースプレートにこれらの貫通孔を設ける場合、柱梁接合部のダイアフラムにも付図3に示すようなJASS 6等に記載の適切な貫通孔を設ける。また、めっき浴に沈み込ませる際には、ベースプレート側から沈み込ませ、柱梁接合部側から確実に亜鉛を流出させるよう施工する。
Q
ベースパック(NT)のナット締め付けトルクについて
A
ベースパック(NT-FX3、S3)のナット締め付けトルクについて、ベースパック施工マニュアルには「アームの長さ80cm~90cm 程度のスパナを使用し、全身の力をかける程度の締め付けを行う。」と記載しています。
これは、「ベースパック柱脚工法」日本建築センター評定図書における「アンカーボルトの本締め」に記載の通りで、アンカーボルトの本締めはグラウト材の充填前に行い、積極的に締 め付け力を導入するものではありません。
従って、ベースパック(NT-FX3、S3)は、ナット締め付けについてトルク管理を規定しておりませんが、上記方法によってナットを締め付けた結果としてのトルク値を120N・m 程度と想定しており、トルク管理を行う際は、120N・m を目安としてお取扱いくださいますようお願い申し上げます。
尚、アンカーボルトの本締めは、元請様による施工および管理となっておりますので、上記主旨をご理解の上、適切な施工を行っていただくようお願い申し上げます。
Q
ベースパック(Ⅰ型、Ⅱ型、P3、UB、円形、H形)のナット締め付けトルクについて
A
ベースパック(Ⅰ型、Ⅱ型、P3、UB、円形、H形)のナット締め付けトルクについて、ベースパック施工マニュアルには「アームの長さ40cm~50cm 程度のスパナを使用し、全身の力をかける程度の締め付けを行う。」と記載しています。
これは、「ベースパック工法」日本建築センター評定図書における「アンカーボルトの本締め」に記載の通りで、アンカーボルトの本締めはグラウト材の充填前に行い、積極的に締め付け力を導入するものではありません。
従って、ベースパック(Ⅰ型、Ⅱ型、P3、UB、円形、H形)は、ナット締め付けについてトルク管理を規定しておりませんが、上記方法によってナットを締め付けた結果としてのトルク値を60N・m 程度と想定しており、トルク管理を行う際は、60N・m を目安としてお取扱いくださいますようお願い申し上げます。
尚、アンカーボルトの本締めは、元請様による施工および管理となっておりますので、上記主旨をご理解の上、適切な施工を行っていただくようお願い申し上げます。
Q
ベースパック柱型立上り筋の頂部フックについて
A
ベースパック標準柱脚仕様において立上り筋の頂部にフックを設ける必要はありません。
ベースプレートからの圧縮力には図1のように、柱型頂部近くにトップフープがあることが肝要であるため、ベースパックではトップフープの位置を高く保持しやすいよう頂部フックを設けないようにしています。鋼構造接合部設計指針(日本建築学会)の柱脚基礎コンクリートの頁にも「基礎の主筋をベースプレートの外側より外側に配置し、かつ基礎上端まで立上げる。その際、基礎上端近くまで帯筋を配置して無筋部分を減らすように設計する。」とあります。
また、建築基準法施行令第73 条には「RC 柱及びはり(基礎ばりを除く)の出すみ部分(最上階など)の鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、コンクリートから抜け出さないように定着しなければならない。」とありますが、ベースパックの立上り筋は接合部の補強鉄筋であり、RC 柱及びはりの出すみ部分の鉄筋とはみなしていません。
ただし、柱型の立上がり高さが50mm(NT の場合は200mm)を超えてRC 柱としてみなされる場合には、少なくとも四隅の立上がり筋の頂部にはフックが必要と判断されますので、図2 のような納まりにより、トップフープを基礎柱型上端近くに配置するよう努めて下さい。
Q
ベースパックがコンクリートスラブに埋まる場合の回転剛性上昇による上部構造への影響について
A
露出型柱脚がコンクリートスラブに埋まり回転剛性値が上昇することによって、上部構造への影響が懸念されます。そこで、2層モデルを仮定し、ベースパックの回転剛性を1.3倍、1.6倍に変化させた時の反曲点高比と層間変形角を算出、比較しました。
下記に計算モデルと結果を示します。
露出柱脚がコンクリートスラブに埋まることによる回転剛性の評価方法は確立されておりませんが、ベースパックは高い回転剛性値を有するため、その値が大きく上昇することがあっても、反曲点高さは殆ど変化せず、上部構造の応力状態に影響を与えるほどではありません。同様に層間変形角への影響も僅かであることが分かります。
また、保有水平耐力の検討においても、ベースパックは保有耐力接合を満足する柱脚を中心としたラインナップであり、柱脚が保有耐力接合を満足する場合、スラブが存在することによって柱脚耐力が上昇しても、柱ヒンジを想定する建物の崩壊形に影響はありません。
Q
ベースパックのコンクリート柱型の拡大について
A
下記のPDFをご確認下さい。
Q
ベースパックのコンクリート柱型トップフープについて
A
ベースパック柱脚⼯法はトップフープをダブルとすることを標準仕様としています。
また、鋼構造接合部設計指針(⽇本建築学会)「7.2 露出柱脚の設計【解説】」には「基礎の主筋をベースプレートの外形より外側に配置し、
かつ基礎上端まで⽴上げる。その際、基礎上端近くまで帯筋を配置して無筋部分を減らすように設計する。」とありますので、
柱型トップフープは柱型頂部近く、基礎はり主筋より上⽅に配置してください(下図)。
なお、基礎梁の設計の際には、基礎梁主筋は、柱型トップフープの上⽅かぶりが確保されるよう位置をご検討くださいますようお願い申し上げます。
Q
ベースパック柱脚工法におけるレベルモルタルの高さについて
A
ベースパック柱脚工法は、ベースプレート下端と基礎コンクリート上端との間隙の基準値を30mm、管理許容差を10mm~40mmとして施工管理を行うことし、これを前提に製品設計を行っています。
なお、この管理許容値を超えた場合に、ナットの余長不足やアンカーボルトの基礎コンクリートへの定着不足等の不具合を生じる恐れがあります。
従って、計画時におきましては、ベースプレート下端と基礎コンクリート上端との間隙を30mmとしてご設計下さいますようお願い申し上げます。
Q
ベースパックの柱脚耐力検討方法について
A
下記のPDFをご確認下さい。
実際の設計・施工にあたっては、
別途詳しいカタログ・資料などを
ご用意しておりますので、
これらを必ずご参照下さい。